萩原浩さんの「海の見える理髪店」は、2016年第155回直木賞の受賞作
著者の萩原浩さんは、埼玉県大宮市出身の1956年6月30日生まれ。
代表作品は、「海の見える理髪店」「オロロ畑でつかまえて」「明日の記憶」などですね。
「明日の記憶」は、2006年に渡辺謙さんの初主演で映画化されましたね。
監督は、堤幸彦監督。
共演は、樋口可南子さんや香川照之さん、吹石一恵さんなど。
第30回日本アカデミー賞で作品が優秀作品賞に選ばれ、最優秀主演男優賞が渡辺謙さん、樋口可南子さんが優秀助演賞、作曲家の大島ミチルさんが優秀音楽賞を受賞しました。
切なさと暖かさが印象に残る作品でした。
あ、映画のことはまたの機会にして、「海の見える理髪店」でしたね。
作品は、母と娘、夫と妻、父と息子。近くて遠く、永遠のようで儚い家族の日々を描く物語六編です。
オムニバス形式のようですが、物語はどれもリンクしていません。
全く別のお話が六編、詰まっています。
表題の「海の見える理髪店」、
ありがちな結末でしたが、ありがちな読後感にならないところが不思議でした。
なんだろう、これ?
ホワンとした灯火のような感覚が、居心地良かったです。
家出をして海を目指す元気な茜ちゃんと少年の「空は今日もスカイ」など、
あー、そうなってしまうのか・・・と、悲喜こもごもです。
圧巻は「成人式」でしたね。
娘に代わり、成人式に替え玉出席しようと奮闘する両親の執念と熱意に圧倒されました。
そんな、いろいろな形の家族の思いがかいま見える六編のストーリー。
どれをとっても、短編とは言え、読み応え十分なものばかりでした。
直木賞受賞の作品なので、大勢の人が読みますから好き嫌いは当然ありますが、
本のムシ・えいりあんの感想としては、読みやすい小説だったなと思っています。
全体的に近しい人との別れがテーマで、切ない作品ばかりなイメージですが
不思議な暖かみのある作品だと思います。
荻原浩さんの作品にみられ、る心に染み入ってくるような味わいがありました。
出版社:集英社
発売日:2016/3/30
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